デレンベルギー

多肉植物の考察

多肉植物|同じ品種でも見た目が違うのはなぜ?

2024年10月、もう月末だというのに夜でも暖かいですね。
一気に寒くなるのか、それともこの調子で緩やかに冬に突入していき暖かい冬になるのか、なぜか2苗のクスピダータサンロベルトの花芽が上がってきているということは植物もその変化を感じているということなのでしょうか。

さて今日は多肉植物の同じ品種でも見た目が違うのはなぜ?という内容で、ここに混乱されているお客様が非常に多くいらっしゃることを日ごろお客様と関わる中で感じていましたのでブログにしようと思いました。

このブログでは何度も同じようなことをお話しすることが多くなるかと思いますが、視点や入口を変えてお話することでより理解を深めていただけるだろうという考えのもとですのでご容赦願います。

原種と栽培品種

沙羅姫牡丹×クスピダータ

まず多肉植物エケベリアには大きく「原種」と「栽培品種」というのがあるというのを知っていますか?
簡単に整理しておきましょう

原種

  • 品種改良前の野生種(約200種ある)
  • 名前の最後に外国の地名がつく表記のものが多い
  • 代表的な原種(ラウイ・リラシナ・コロラータ・カンテ・チワワエンシス・シャビアナ等)

※エケベリア界隈では種子を増やすための「もとだね」としての意味合いでは使わない

品種改良された種

栽培品種

  • 品種改良後の種
  • かっこよすぎる・美味しそうな名前のものが多い

多肉植物において原種は純血、栽培品種は混血といた感じで覚えておくとよいかもしれません。
このことをふまえて次では栽培品種について詳しく説明していきます

命名された栽培品種(交配種)は基本的には見た目が一緒

例えばラウイ(原種)とリラシナ(原種)を交配した同じサヤからとれた種、100粒の種からはすごく似てはいるけれども100個全て別のエケベリアが生まれます。ちなみに おそ松くんは6兄弟ですが赤塚不二夫先生が言うにはコピペらしいので全部完全に一緒です

兄弟全て同じくくりにして命名してよいという認識の方がたまにおられますが、それだと微妙に違うものが流通していきますので、その中から一つを選び抜いて命名します。
命名したものは葉挿しや胴切りなどの「クローン」で増やしていきます(無性生殖・栄養繁殖と言われます)

多肉植物の命名って何?

クローン人間などとよく言いますが、見た目が全く一緒、細胞も一緒、病気への耐性なども一緒。交配種を一度命名したらクローンで増やしていかないと、巷には同じ名前なのに見た目が別のものがあふれてしまうということになるでしょう

趣味の世界ですし法律でもないのですが、ごちゃごちゃになってしまうと最終的にはエケベリアが商業的にも収拾付かなくなってくるのではないかと思うので、国際栽培植物命名規約という規約に沿うような形でエケベリアを楽しんでいきたいと思っています。

むらさき園の命名品種がもしできたとすれば、それは国際栽培植物命名規約に沿った上で、このサイト上で公表していくことになると思います

ちなみに国際藻類菌類植物命名規約と国際栽培植物命名規約というのがありますが、前者は発見したなどの際に使われるもので学者級の方が使うものでspなどもそういった類、僕ら栽培家は後者の国際栽培植物命名規約に従って命名していくのが良いのではないかと思っています。

同じ名前なのに見た目が違うエケベリア

写真はエケベリア デレンベルギー(原種です)
これら3つは種から生まれたもの、クローンとは違って見た目が全部違います。でもよく見ればある一定の似たような形状をしていませんか?

種から生まれた原種は見た目が違っていてもデレンベルギーはデレンベルギーだしリラシナはリラシナです。原種は原生地で長い年月をかけて自然交配を続けていくうちに種として固定されているから、種を撒いたらだいたいは似たような形質のものが出てくるよねーっていう感じだと思ってもらえればいいかなと思います。

デレンベルギーは学名っていうちょっと上位版、僕らが作出して命名するのは園芸品種名といってちょっと下位版。なんとなくでも分かってもらえたでしょうか?

多肉植物|同じ品種でも見た目が違うのはなぜ?まとめ

多肉植物初心者の方にあまり難しくならないように説明しようと思い書いてみましたが、やはりなかなか難しい。
このブログだけでは分からないという方のために、これからも色々な言葉で色々な視点で書き続けていこうと思っています。
栽培品種でもクローン以外の増やし方をしても良いとされる場合もあるのですが、それはまた別の機会に。まずは中学生としての勉強だと思い混乱せずに大まかに覚えておいてください。そして僕も学者でも研究者でもないですし、その方向で高みを目指すつもりもないので、エケベリアを楽しむ上である一定の決まり事(法律ではない)を自主的に守った上で楽しんでいきたいというところです。

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