多肉植物の考察

胴切りしたエケベリアの根の生え方についての考察

エケベリアを育てていると、徒長した株や群生株を増やすために「胴切り」をする機会が多くあります。しかし、胴切りした後の根の生え方には興味深い特徴があります。一般的に、切り口の底面から根が生えてくると思われがちですが、実際には多くのケースで茎の側面から発根することが観察されます。本記事では、この現象について詳しく考察します。

胴切り後の発根位置の実態

胴切りしたエケベリアは、通常、切り口をしっかり乾燥させた後に発根が始まります。しかし、観察を続けると、根が必ずしも切り口の底面から生えてくるわけではなく、むしろ茎の側面から生えてくることが多いことが分かります。

例えば、写真のようにエケベリアを胴切りした場合、茎の中央部や底面ではなく、側面部分から発根することがよく見られます。このような発根のパターンは、多肉植物の生理的な特性によるものと考えられます。

なぜ茎の側面から発根するのか?

この現象にはいくつかの要因が関与していると考えられます。

  1. カルスの形成と発根ホルモンの影響 胴切り後、切断面には「カルス」と呼ばれる保護組織が形成されます。このカルスは根を生やす準備をするための役割も担っていますが、茎の底面よりも側面のほうが発根ホルモン(オーキシン)の分泌が盛んな可能性があります。
  2. 水分と栄養の供給 多肉植物は茎に水分や栄養を蓄える性質があり、茎の側面部分は水分の供給が良好なため、根が出やすい環境になっていると考えられます。
  3. 成長点の影響 植物の成長点は、発根を促す細胞分裂が活発な部位ですが、茎の底面よりも側面のほうが発根しやすい細胞を持っている可能性があります。
  4. 自然環境における適応 多肉植物は乾燥地帯に自生しているため、茎の側面から根を出すことで、より効率的に水分を吸収できるように進化したのかもしれません。

胴切りエケベリアの発根を促すポイント

エケベリアの発根をスムーズに進めるためには、以下の点に注意するとよいでしょう。

  • 適切な乾燥期間を設ける 胴切り後すぐに水やりすると、切り口が腐る可能性があります。最低でも1週間は乾燥させるのが理想です。
  • 明るい日陰で管理する 直射日光を避け、風通しの良い環境で管理することで、発根しやすくなります。
  • 発根促進剤の活用 オーキシンを含む発根促進剤を切り口や茎の側面部分に塗ることで、より早く根を出すことができます。
  • 水やりは霧吹き程度に 完全に発根するまでは、土が湿りすぎないように注意し、霧吹きで湿度を調整する程度に留めるのが良いでしょう。

まとめ

エケベリアの胴切り後の発根は、切り口の底面よりも茎の側面から生えることが多いという興味深い特徴があります。この現象は、ホルモンバランスや水分供給の仕組みによるものと考えられます。発根を促すためには適切な乾燥期間や環境調整が重要であり、これらを意識することで、より健全な株に育てることができます。

今後もエケベリアの発根パターンについて観察を続け、新たな発見があれば共有していきたいと思います。

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